Y-NIXをモデルとした地域IXの役割と課題
June 4 1997
Y-NIX Technical WG
八代一浩
1.はじめに
ここでは、Y-NIXをモデルとして、地域IXの役割と展望について述べる。
2.現状
Y-NIXの現状から、地域IXの役割について議論する。
2.定義
Y-NIXでは以下の条件を満たすものを地域IXと定義する。
・地域内に始点・終点を持つパケットのトランジットを行う。
2-2.目的
Y-NIX設立の目的として、以下の3つがあげられる。
・迅速なパケットの転送
・安全な経路の確保
・広域へのトラフィックの軽減
・地域のコミニケーションへの貢献
2-2-1.迅速なパケット転送
地域のISPではY-NIXまでの通信コストは東京までのコストよりも低く抑えることが
できる。そのため広帯域の回線が確保しやすい。また、エリアが限定されるために
無線やCATVなどのインフラを利用しての接続も可能である。Y-NIXではIXに広帯域の
トラフィックを使うアプリケーションのリフエクタやプロパゲーションサーバを配置
し、エリア内での実験を行う予定である。現在、教室と教室を結んだ授業の計画など
教育目的のものが計画されている。
2-2-2.安全な経路の確保
National IXを経由すると、必然的に経路が長くなり、盗聴、改竄の確率も高くなる。
エリア内の閉じた経路を確保することは、安全な経路を確保することにもつながる。
山梨では、医療関係者の活動が盛んであるが、これらの活動ではプライベートな情報が
流れる事もある。さらに、地域IXに認証サーバを配置し効率的かつ安全に認証を行う
事も可能である。
2-2-3.広域へのトラフィックの軽減
2-2-1においては、広帯域を利用するアプリケーションについて述べたが、これら以外
にも、現在行われているサービスでもサーバの配置によって効率的にサービスが行わ
れNational IXへのトラフィックの軽減に役立つものがある。Y-NIXで考えられている
のは、以下のサーバである。
・Newsサーバ
・NTPサーバ
・プロパゲーションサーバ
・mroutedサーバ
2-2-4.地域コミニケーションへの貢献
IXの目的はパケットの交換にあるのはいうまでもないが、地域のIXとしては地域の
コミュニティへの貢献も必要である。そのため、Y-NIXにおいては各種アプリケー
ションサーバの配置を行い共同運営を計画している。
2.構成
2-3-1.運営上の構成
Y-NIXの組織図は以下のようになる。
+------+
| 代表 |
+---+--+
|
+---+---+
|副代表 |
+---+---+
|
+-----+-----+
|運営委員会 |
+-----+-----+
+---------------------+
+-----+------+ +-----+-----+
| 全体会議 | | 技術WG |
+------------+ +-----------+
Y-NIXに直接接続するISPは運営委員会のメンバーとなる。Y-NIXに直接接続を行わない
ISPは全体会議のメンバーとなる事ができる。会費はY-NIXの運営に必要な経費を平等に
負担した金額となる。また、山梨県は特別会員として、運営委員会に参加している。
技術WGはY-NIXに直接接続を行うメンバー、およびボランティアによって組織される。
2-3-2.ネットワークの構成
ネットワークの構成は以下の通りである。
bgp Speakers RIP/OSPF Speakers
LAN Switch LAN Switch Ethernet HUB
+---+ +---+ +--------+ +---+
+--------+ | +-|-------|---|------+ ISP | | | +-------+
| ISP +------|-+ | | +-|------+ Router | | +-|------+ ISP |
| Router +------|---|-------|-+ | +--------+ | | | Router|
+--------+ | | | | +--------+ | | +-------+
+--------+ | +-|-------|---|------+ ISP | | |
| ISP +------|-+ | | +-|------+ Router | | |
| Router +------|---|-------|-+ | +--------+ | |
+--------+ | | | | +--------+ | |
| | | +-|------+ Router +------|-+ |
+-+-+ +-+-+ +--------+ +---+
| |
+---+---+ +---+---+
| Route | | Route |
| Server| | Server|
+-------+ +-------+
2.4.問題点
これまでの活動から、いくつかの問題点が指摘されている。
・アドレス空間
多くのISPではサブアロケーションを行っている。しかも、それぞれが、あらかじ
め想定して割り振っているわけではないので、aggrigationに問題がある。
また、RIPで経路制御を行っている所には、トランジットにも問題がある。
・コスト
ローカルなISPにとると、直接の接続が余分な費用負担を強いる事になる。
ルータはbgpが使えるものを新規に購入する必要があり、また、新たな回線コスト
に対し、積極的でない所もある。
3.展望
Y-NIXでは即座に行える事から将来に向けていくつかのphaseを考えている。
[phase 1]
・アプリケーションサーバの運用
教育分野において、教室と教室を結んだ環境を作り、教育環境としての
インターネット利用を考える。
[phase 2]
・IXを介してのISP間の接続
National ISPとRegional ISPの間では、現在は回線の太さに対する課金が
一般的である。しかし、IXを介して、一種のマルチホームを形成する事も
でき、Regional ISPにとっては、回線の冗長性と選択性を持つことが可能と
なる。いわば、インターネットの市場として機能する事ができる。
[phase 3]
・レジストリ機能
JPNICが行っている、地域ドメイン名割り当て業務のdelegationと、それに
伴った、DNSサーバの運用が考えられる。また、地域に対してのCIDRブロック
アドレスの割り当ても考えられる。ただし、これらはJPNICにおいて現在
行われてはいない事でもあり、Y-NIXの活動そのものとして、適切であるかは
議論が必要である。
4.課題
Y-NIXの運用は技術的な側面からいくつかの課題を持っている。ここでは、これらの
課題についてまとめる。
4-1.経路情報
National/International IXに対してY-NIXの経路情報が流れる事には問題がある。
これは、Y-NIXに接続を行うISPがサブアロケーションしたアドレスが多く存在す
るためである。そのため、現在は、Private AS、もしくはFilteringを用いての対
応を行い、広域には経路情報が流れない方針である。この問題を根本的に解決す
るためには、Y-NIXがCIDRブロックを持ち、接続を行うReginalなISPに対してリナ
ンバリングしてもらうなどの方法が考えられる。これはある意味において、IPV6
への移行とともに議論されるべき事かもしれない。
4-2.47+10(47都道府県10政令指定都市)問題について
ここには、回線の費用と技術者の仕事量に対する費用の問題がある。回線の費用
に関しては、一つは、Y-NIXに流れるトラフィックが増えた時には自然に解決する
問題でもある。また、IXを介してのISP間接続が有効な手段として利用されると解
決される可能性がある。技術者の仕事量に対しては、Route Serverの運用なども
含めて運用技術の研究・開発を行っていく必要がある。